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第10章 射精のあとのからだ ― 休む時間・精液の見た目・朝立ちと夢精

⏱ 読む時間の目安:約5分

終わったあとのからだにも、ちゃんと意味のある変化が起きているんですよ。すぐには次に進めない時間、精液の量や色、眠っている間の勃起。どれも「これってふつう?」と気になりやすいところですね。ひとつずつ、落ち着いて見ていきましょう。

射精のあとの「休み時間」(不応期)

射精したあと、しばらくは勃起や射精が起きにくい時間があります。これを不応期(ふおうき)といいます(Levin, 2009)。からだが「ひと区切り」をつけている時間だと考えると分かりやすいでしょう。

長さには大きな個人差があります。老化について書かれた教科書では、若い男性ではほんの数分のこともあり、年齢とともに、長い時間から数日まで長くなることがある、と説明されています(DiGiovanna)。

ただ、正直にお伝えしておきたいことがあります。この不応期について研究を見直した論文は、人での研究がとても少ないと指摘しています。「年齢とともに長くなる」という、よく知られた話でさえ、それを裏づけるデータは発表されていない、というのです。しくみも、まだよく分かっていません(Levin, 2009)。つまり、「何分ならふつう」という線は、今のところ引けないんです。

ですから、すぐに次へ進めなくても、心配しなくて大丈夫。前より長くなったと感じるのも、多くは自然な変化です。年齢による変化については、40代からのオナニー道(男性編)もあわせて見てくださいね。

精液の量には、広い幅がある

世界保健機関(WHO)は、精液を調べるときの手引きを出しています。その基準値づくりのために、12か国・3,500人あまりのデータをまとめた研究があります。対象は、パートナーが1年以内に妊娠した男性で、射精をがまんした期間が2〜7日のときの測定です(Campbell ら, 2021)。

小さじ1杯がおよそ5mLなので、ふつうはそれより少ない量なんですね。ただし研究者は、この値は「妊娠できる人とできない人を分ける線ではない」とも書いています。1回少なかったからといって、すぐに心配する必要はありません。子どもを望んでいて気になるときは、泌尿器科で精液の検査を受けられます。

1回の精液の量の幅 真ん中 3.0 0 1 2 3 4 5 6 7 目盛りの単位はmL 真ん中の半分の人(2.3〜4.2) 90%の人(1.4〜6.2)
パートナーが1年以内に妊娠した男性3,586人の、射精をがまんした期間が2〜7日のときの精液の量(Campbell ら, 2021 の表をもとに作図)。

精液の色とにおい:ふつうの幅と、相談のめやす

米国のメイヨー・クリニックによると、精液はふつう、白っぽい灰色です。色の変化は一時的で、害のないことが多いとされています。そのうえで、色ごとに次のような原因が挙げられています。

新しく色が変わって、それが1週間以上続くときは、医療機関に相談するようすすめられています。熱やおしっこの痛みなど、ほかの症状が一緒にあるときも、早めに泌尿器科で相談しましょう。精液に血が混じるときの受診のめやすは、第6章にくわしくまとめています。

夜と朝の勃起は、眠りのリズムの一部

朝起きたときに勃起している「朝立ち」。これは、性的な夢を見たからとは限りません。眠りには、からだは休んでいるのに脳が活発に動いている時間があります。目が速く動くので、レム睡眠と呼ばれます。夜の勃起は、このレム睡眠とほぼ重なって起きています。

20〜26歳の男性の眠りを一晩中記録した研究では、勃起は一晩に平均4.22回、1回あたり平均約33分起きていました。そのうち91.4%が、少なくとも一部はレム睡眠の時間と重なっていました(Karacan ら, 1972)。眠っている間に何度も起きているので、目が覚めたときに、ちょうどその途中に出会うことがあるわけですね。

研究者は、この夜の勃起のふつうの姿を知っておくことが、勃起の悩みの診断や見通しを立てるのに役立つ、と述べています。また、40代以降の男性を調べた研究では、朝の勃起が減ることが、男性ホルモンの少なさと結びついていました。くわしくは40代からのオナニー道(男性編)で紹介しています。朝立ちは、からだの調子を映すサインのひとつなんですね。

ただし、毎朝あるとは限りません。気づかない日があっても、不思議ではないんですよ。気にしてほしいのは、前はあったのに、ほとんどなくなった状態が続くときです。勃起しにくさやだるさが重なるときは、泌尿器科で相談してみてくださいね。

夢精は、病気ではない

眠っている間に射精することを、夢精(むせい)といいます。性的な夢を見ているときに起こることが多いのですが、夢やはっきりした感覚がないこともあります。「家庭の医学」の解説では、夢精は病気ではないとされています。また、射精の回数が少ない人ほど、夢精が起こりやすいことが知られています。しばらく射精していなかったあとに起きても、自然なことなんですよ。

一方で、性的な刺激がないのに、1日に2〜3回以上、勃起や快感をともなわずに精液が出てしまう場合は、病気のことがあるとされています。そのようなときは、泌尿器科で相談しましょう。

精液の色の変化が1週間以上続く、血が混じることがくりかえす、熱やおしっこの痛みなどほかの症状もある、といったときは泌尿器科を受診してください。相談先に迷ったら第6章を見てくださいね。

終わったあとのからだは、静かに次の準備をしているんです。休み時間があるのも、量や色に幅があるのも、朝に勃起しているのも、からだが自分のリズムで動いている証。焦らずに、そのリズムを見守ってあげてくださいね。

修行のお題 この1週間、朝起きたときに「朝立ちがあったか(あり・なし・覚えていない)」と「眠った時間」を、メモに1行ずつ書いてみましょう。よく眠れた日とそうでない日で、違いがあるか見比べてみてくださいね。

参考にした資料

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