第6章 こんな時は専門家へ ― 迷ったら相談してよいサイン
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道を極めるというのは、ひとりで全部抱えこむことではないんですよ。自分の手に負えないと気づいて、頼れる人に相談できること。それも大切な極意のひとつです。どんなときに、どこへ行けばいいのか、一緒に確かめておきましょうね。
悩んでいるのは、あなただけではありません
日本性機能学会は2023年に、全国の20代から70代の男性約6,200人に調査を行いました。その結果、勃起の悩み(ED)がある人は約1,400万人、早漏に悩む人は約910万人と見積もられました。性の悩みは、とてもよくあるものなんです。恥ずかしがらずに、からだの不調のひとつとして扱ってあげてくださいね。
すぐに受診してほしいとき
- 勃起しているときに陰茎が曲げられ、「ポキッ」という音とともに急にしぼみ、強い痛みや腫れ、暗い色のあざが出た:陰茎の中の膜が裂ける「陰茎折症」かもしれません。泌尿器科の救急として扱われます。早く治療するほど治りやすいとされているので、夜でも救急外来へ
- 尿が出にくい、尿に血が混じる、高い熱や寒気、下腹部や会陰部(陰のうと肛門の間)の強い痛みがある
続くようなら相談してほしいとき
- 痛み・すり傷:こすりすぎによる軽いすり傷や腫れは、数日で引くことが多いです。ただ、傷が治らない、ただれる、できものがある場合は、泌尿器科か皮膚科へ
- 精液に血が混じる(血精液症):1回だけで、ほかに症状がなければ、様子を見てよいことが多いとされます。ただし、次のような場合は泌尿器科で調べてもらいましょう。3〜4週間以上続く、くりかえす、40代以上、血尿もある、家族にぼうこうの下にある男性の器官(前立腺)のがんになった人がいる
- 勃起しにくい:満足できる硬さにならない、硬さが続かない状態が続くとき。勃起の悩みは、心臓や血管の病気の手がかりになることがあります。50代半ば以上の米国の男性約9,500人を追いかけた研究があります。勃起の悩みがある人は、その後に心臓や血管の病気を起こす割合が高くなっていました(Thompson ら, 2005)。これは実際の様子を追いかけて、関係があると分かった研究です。勃起の悩みがある人が必ず病気になる、という意味ではありません。それでも、食事や運動などの生活習慣からくる病気(生活習慣病)を点検するきっかけにする価値はあります
- 射精できない・とても時間がかかる:ひとりでもパートナーとでも射精できない、パートナーとのときだけ届かない、という状態が続くとき(第4章)。糖尿病などの病気や、気分の落ちこみを治す薬(抗うつ薬)の一部、手術の影響が関わることもあります。原因に合わせた対応が必要とされています(第4章の資料も参照)
- 射精が早すぎる:国際性医学会の決め方(定義)では、次の3つがそろう状態を早漏としています。①挿入前か、挿入後おおむね1分以内(途中からそうなった場合はおおむね3分以内)に、ほぼ毎回射精する。②ほぼ毎回、遅らせることができない。③そのために、悩みや苦しさがある、親しい場面を避けるなどの影響がある(Serefoglu ら, 2014)。時間だけで決まるものではありません。本人やパートナーが悩んでいるかどうかも、大切な点なんですよ
- やめたくてもやめられない:自慰に使う時間が増えすぎて、仕事や生活、人間関係に困りごとが出ていると感じるとき
何科に行けばいい?
- 泌尿器科:まず迷ったらここ。勃起・射精・痛み・血精液症・陰茎のけがなど、多くの悩みの入り口です。とくに射精や不妊の悩みは、「男性不妊」「メンズヘルス」「男性機能」をかかげる外来だと、くわしく相談しやすいでしょう
- 皮膚科:皮ふのかぶれ、ただれ、できものなど
- 心療内科・精神科、性の相談窓口:不安や緊張、パートナーとの関係、やめられない感じなど、心の面が大きいとき。日本性科学会のカウンセリング室では、臨床心理士が相談を受けています。勃起障害、早漏、オーガズムの悩みなどについて、本人やカップルからの相談を、秘密を守って聞いてくれます(予約制・有料)
今のんでいる薬がある人は、受診のときに薬の名前を伝えてください。一部の薬が、射精や勃起に影響することがあるからです。自分の判断で薬をやめるのはやめて、薬を出した医師に相談しましょう。
このサイトの内容は、一般的な情報をお届けするためのものです。診断や治療のかわりにはなりません。気になる症状があるときは、医療機関で相談してください。インターネットで個人輸入した医薬品は、中身や品質が確かでないものもあります。使う前に必ず医師に相談しましょう。
相談の扉をたたくのは、とても勇気のいることですよね。でも、その一歩は、あなたが自分のからだを大切にしている証なんです。ここまで読んでくださったあなたなら、大丈夫。あなただけの道を、これからもゆっくり歩んでいってくださいね。
修行のお題 この章の「相談してほしいとき」を読み返して、自分に当てはまるものがあるか、ないかを確かめてみましょう。もしあれば、近くの泌尿器科を1か所だけ調べ、名前と受付時間をメモしておくところまでで大丈夫です。
参考にした資料
- Serefoglu EC ら(2014)An evidence-based unified definition of lifelong and acquired premature ejaculation: report of the second International Society for Sexual Medicine Ad Hoc Committee for the Definition of Premature Ejaculation. Sexual Medicine
- Thompson IM ら(2005)Erectile dysfunction and subsequent cardiovascular disease. JAMA
- Penile fracture: Symptoms, causes, and treatment(Medical News Today)
- 25年ぶりの全国調査で日本人男性の性機能が明らかに(日本性機能学会 プレスリリース)
- 血精液症(血精液)|原因・受診の目安・検査(0th CLINIC 日本橋)
- カウンセリング室について(日本性科学会)