第9章 陰茎と包皮の基本 ― 大きさの幅・包茎・洗い方・形
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大きさ、皮のかぶり方、形。人と比べにくい場所だからこそ、ひとりで悩みをふくらませてしまう方が多いんです。この章では、研究で分かっている「ふつうの幅」と、毎日のお手入れ、相談したほうがよいサインを、順番に確かめていきましょうね。
大きさは、平均の近くにほとんどの人が集まる
陰茎の大きさについては、医療者が決まった方法で測った研究が、世界中にあります。英国の研究チームは、そうした研究をまとめ直して、最大で1万5千人あまりの測定結果を整理しました(Veale ら, 2015)。対象は、陰茎の病気や手術歴がなく、大きさの悩みや勃起の悩みで受診したのではない男性です。
- ふだんの状態の長さ:平均 約9.2cm(約1万700人)
- ふだんの状態で、やさしく引きのばした長さ:平均 約13.2cm(約1万4千人)
- 勃起したときの長さ:平均 約13.1cm(692人)
- 勃起したときの太さ(周りの長さ):平均 約11.7cm(381人)
勃起したときの長さは、ばらつき(標準偏差)が約1.7cmでした。この数字から計算すると、およそ3人に2人が約11.5〜14.8cmに、およそ95%の人が約9.8〜16.4cmに入ります。ほとんどの人が、平均のまわりの狭い範囲に集まっているんですね。なお、研究者は限界も書いています。勃起したときの測定は人数が少なく、医療の場で測ったものはさらに少ない、という点です。
「気にしすぎ」が起きやすいわけ
アメリカでインターネットを使って、男女5万2千人あまりに尋ねた調査があります。自分の大きさに満足していた男性は55%でした。一方、パートナーの大きさに満足していた女性は85%でした(Lever ら, 2006)。本人が思うほど、相手は気にしていないことが多いのかもしれません。ただし、これは自分で答えるアンケートで、測った数字ではありません。対象も、異性愛の男女に限られています。
また、Veale らの研究では、長さと最もはっきり関係していたのは身長でした。それでも関係の強さはほどほどで、体格から大きさは決めつけられません。大きさが気になって、人と温泉に入れない、親しくなるのを避けてしまう、というほど悩みが続くときは、ひとりで抱えずに泌尿器科や心療内科に相談してみてくださいね。
包茎の3つのタイプと、受診のめやす
陰茎の先の部分(亀頭)を包む皮を、包皮といいます。包皮のかぶり方によって、日本ではおもに3つに分けて説明されています(東京国際大堀病院)。
- 仮性包茎:ふだんは皮がかぶっていても、手でむけば亀頭を出せる状態。必ずしも治療は必要ありません。痛みや炎症などの症状があるときに、治療を考えます
- 真性包茎:ふだんも勃起したときも、皮の口が狭くて亀頭をまったく出せない状態。中を洗いにくく、炎症をくりかえしやすくなります。大人では自然によくなることは期待しにくく、泌尿器科で相談するのがよいでしょう
- 嵌頓包茎(かんとんほうけい):むいた皮の狭い口が、亀頭の根元をしめつけて戻らなくなった状態。強い腫れや痛みが出て、血の流れが止まるおそれがあります
英国のNHSは、包皮がきつくても、痛みや出血などの問題がなければ、ふつうは困らないとしています。そのうえで、次のときは受診をすすめています。包皮が腫れたり痛んだりする。出血や、包皮の下から濃い分泌物や嫌なにおいがある。おしっこのときに痛い、出にくい。勃起すると痛い。そして、むいた皮が戻らなくなったときは、すぐに救急を受診すべき状態だとしています。
大切なのは、きつい皮を無理にむかないこと、そしてむいたら必ず元に戻すことです。
恥垢と、毎日の洗い方
包皮の内側にたまる白っぽい垢を、恥垢(ちこう)といいます。包皮の中は汚れがたまりやすい場所です。NHSは、きちんと洗えていないことを、亀頭が赤く腫れてかゆくなる炎症(亀頭包皮炎)の原因のひとつに挙げています。この炎症では、嫌なにおいや、包皮の下からの濃い分泌物が出ることもあります。
- 毎日、ぬるま湯でやさしく洗う
- 包皮をむける人は、そっとむいて、内側もぬるま湯で洗う
- 洗ったら、包皮は必ず亀頭にかぶせて元に戻す
- 石けんを使うなら、香料の入っていないものにする。洗ったあとは、やさしく水気をふく
- 香料の強い石けんや、制汗剤・パウダーはつけない(かぶれの原因になります)
赤みやかゆみがあるときは、石けんを使わず、ぬるま湯だけで洗うようNHSはすすめています。洗う時間は、しこりや腫れがないかを見る、よい機会にもなりますよ。
形や曲がりの幅と、ペロニー病のめやす
形にも、大きな個人差があります。NHSは、陰茎の大きさや形はさまざまで、勃起したときに少し曲がっているのは自然なこともある、としています。生まれつきのゆるやかな曲がりなら、心配はいりません。
一方で、陰茎の中に硬いしこりができて、勃起すると曲がる病気があります。これをペロニー病といいます。おもに40歳以上に多いものの、若い人にも起こります。NHSは、次のようなときに受診をすすめています。
- 陰茎に腫れや、硬いしこりがある
- 以前より、勃起したときに上や下へ大きく曲がるようになった
- 勃起すると痛い、または勃起しにくくなって困っている
軽ければ治療がいらないこともありますが、痛みや悩みが大きいときは治療の方法があります。恥ずかしがらずに、泌尿器科で相談してくださいね。
むいた包皮が戻らず、亀頭が腫れて痛むときは、すぐに治療が必要な状態です。夜でも救急外来を受診してください。包皮の腫れや痛み、出血、おしっこのしにくさ、陰茎のしこりや急な曲がりも、泌尿器科で相談するサインです。相談先に迷ったら第6章を見てくださいね。
大きさも形も、顔と同じで一人ひとり違うもの。ほとんどの人が「ふつうの幅」の中にいるんですよ。比べることより、清潔に保って、変化に気づけることのほうが、ずっと大切な修行なんです。
修行のお題 今夜のお風呂で、ぬるま湯だけでやさしく洗い、包皮を元に戻すところまでを、ていねいに1回やってみましょう。そのとき、しこりや赤み、痛みがないかも、そっと確かめてみてくださいね。
参考にした資料
- Veale D ら(2015)Am I normal? A systematic review and construction of nomograms for flaccid and erect penis length and circumference in up to 15,521 men. BJU International
- Lever J, Frederick DA, Peplau LA(2006)Does size matter? Men's and women's views on penis size across the lifespan. Psychology of Men & Masculinity
- 真性包茎の治し方とは?(東京国際大堀病院)
- Tight foreskin (phimosis)(NHS)
- Balanitis(NHS)
- Peyronie's disease(NHS)