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第3章 しっかり届くための練習 ― 強さ・リズム・呼吸・止めて高め直す

⏱ 読む時間の目安:約5分

ここからは修行の段に入りますね。といっても、きびしい稽古ではありません。いろいろ試して、自分のからだが何を心地よいと感じるのかを確かめていく時間なんです。正解は人それぞれ。あなただけのやり方を、ゆっくり見つけていきましょう。

刺激は「3つのつまみ」で調整する

手での刺激は、ざっくり言うと3つのつまみでできています。「強さ(握る力)」「速さ」「リズム(一定か、変化をつけるか)」です。多くの人は、知らないうちに、いつも同じ強さ・同じ速さに固まっています。練習では、それぞれのつまみを意識して動かしてみましょう。

弱めの刺激でも届けるようにしておくと、将来パートナーと過ごすときの助けになります。専門家はこう指摘しています。ひとりのときの刺激が、パートナーとのときの感覚とかけ離れていると、射精しにくくなる原因のひとつになる、と(Perelman, 2016)。くわしくは第4章でお話ししますね。

呼吸と、力のゆるめ方

高まってくると、息を止めたり、全身に力が入ったりしがちです。けれど、第1章のとおり、勃起は「ゆるむ神経」に支えられています。次のことを意識してみてください。

止めて、高め直す:エッジング(ストップ・スタート法)

高まりの波に乗っていき、射精しそうになる少し手前で、いったん刺激を止めます。波が少し引いたら、また始めます。これを数回くりかえしてから、最後まで進みます。この方法を、ふつうエッジングと呼びます。医療の世界では「ストップ・スタート法」という名前です。1950年代から、射精のタイミングを自分で選べるようにする練習に使われてきました。英国の国の医療サービス(NHS)も、「スクイーズ法」とあわせて紹介しています。スクイーズ法は、止めたところで陰茎の先の部分(亀頭)を10〜20秒ほど軽く押さえ、30秒ほど待ってから再開する方法です。

こんな研究があります。射精が早すぎること(早漏)に悩むカップルを、みっつのグループに分けて比べました。ストップ・スタート法など、練習でふだんの行動を変えていく治療(行動療法)を受けるグループ、新しい方法のグループ、何もせず待つグループです。その結果、行動療法のグループでも、続く時間や性の満足度がよくなりました(de Carufel ら, 2006)。ただし、対象はパートナーのいる男女のカップルで、測ったのもふたりでの時間です。「ひとりでの練習が、そのまま同じ結果につながる」と示したものではありません。この点は覚えておいてくださいね。

練習のこつは、次のとおりです。

「目盛り」を感じ取れるようになること自体が、いちばんの収穫なんですよ。

骨盤の底の筋肉を知る

射精のときにリズムよく縮むのが、骨盤の底にある、おしりの下のハンモックのような筋肉(骨盤底筋)です。尿を途中で止めるときに使う筋肉、と考えると分かりやすいでしょう。早漏に悩む40人が、12週間この筋肉のトレーニングをした研究があります。そのうち33人が、射精をコントロールしやすくなったと報告されました(Pastore ら, 2014)。ただ、比べるためのグループ(対照群)がない、小さな研究です。研究者自身も、大きな試験での確認が必要だとしています。立った姿勢や座った姿勢で、数秒しめて、同じくらいゆるめる。まずは毎日の中で、これを試してみるくらいから始めるとよいですね。

集中のしかた:「いま感じていること」に戻る

頭の中が「ちゃんと届くかな」「時間がかかりすぎかな」という心配でいっぱいになると、高まりは遠のきやすくなります。専門家も、後ろ向きな考えが高まりを打ち消し、射精を遅らせることがあると述べています(Perelman, 2016)。心配が浮かんだら、自分を責めずに、手の感覚や呼吸に注意を戻してみましょう。こんな研究もあります。場面によって勃起しにくくなる男性10人が、4週間、グループでの治療を受けました。中心は、よい悪いを決めずに「いま」に注意を向ける練習(マインドフルネス)です。その結果、勃起の力や性の満足度に、よくなる兆しが見られました(Bossio ら, 2018)。ただしこれは、本格的な研究の前に行う小さな試しの研究です。人数が少なく、比べるグループもありません。なので、効果があると言い切れる段階ではありません。

亀頭を押さえるときは、痛みが出ない程度の軽い力にとどめてください。練習中に痛み、すり傷、出血が出たら、その日は中止しましょう。続くようなら、泌尿器科に相談しましょう。

届かない日があっても、それは失敗ではないんですよ。「今日はこういう日なんだな」と受けとめて、また次に試せばいいんです。大丈夫、あせらなくていいんですからね。

修行のお題 次の1回で、刺激を「弱・中・強」の3段階に分け、それぞれ1分ずつ、呼吸を数えながら試してみましょう。いちばん心地よかった段階と、そのときの呼吸の数を、メモに1行残してみてくださいね。

参考にした資料

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