「潮吹き」のしくみとやり方 ― 女性・男性それぞれに、分かっていること
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成人向けの作品でよく見る「潮吹き」。「本当にあるの?」「中身はおしっこ?」「自分もできる?」と気になっている方は多いと思います。このコラムでは、研究で分かっていることと、まだ分かっていないことを分けて整理します。そのうえで、試してみたい方のための手順と、経験者のあいだでよく語られる工夫をまとめます。先にお伝えしておくと、出なくても何の問題もないです。気楽に読み進めてくださいね。
女性の潮吹き:出てくる液の正体
いちばんよく知られているのは、フランスの研究です。潮吹きをくり返し経験している7人の女性に協力してもらい、おなかの上から超音波(エコー)で膀胱の様子を見ました(Salama ら, 2015)。
- 始める前にトイレに行き、膀胱が空になっていることを確かめた
- 性的な刺激を続けると、潮吹きの直前には、膀胱がはっきりふくらんでいた
- 潮吹きの直後には、膀胱がまた空になっていた
- 出た液の成分(尿素・クレアチニン・尿酸という、尿に含まれるもの)は、前後の尿とほぼ同じだった
- 一方で、刺激の前の尿にはほぼ含まれない「PSA」という成分が、7人中5人の液から見つかった
研究者の結論は、「潮吹きは主に、性的な活動の最中に意図せず尿が出るもので、そこに尿道のそばの小さな腺(スキーン腺。「女性の前立腺」とも呼ばれる)の分泌液が少し混ざることが多い」というものでした。日本でも2022年に、膀胱に青い色素を入れてから潮吹きをしてもらう研究が行われ、5人全員の液が青く染まりました。5人中4人の液からはPSAも見つかっています(Inoue ら, 2022)。
チェコの研究者パストルらは、これまでの研究をまとめた総説で、似ている2つの現象を分けて考えることを提案しています(Pastor & Chmel, 2018・2022)。
- 潮吹き(squirting):透明な液が、10mLほどから、ときに数百mLも出る。膀胱から来る、薄まった尿に近い液
- 女性の射精(female ejaculation):数mLほどの、とろみのある白っぽい液。スキーン腺から出るとされ、PSAを多く含む
2つが同時に起こることもあるそうです。ただし、どちらの研究も参加者は数人ずつと少ないです。なぜ膀胱が短い時間でふくらむのか、どうして一部の人にだけ起こるのか、といった仕組みの細かいところは、まだ分かっていないです。「中身は尿ではない」と書く体験記事も多いのですが、今ある研究は「主な中身は尿に近い」という方向でそろっています。
どれくらいの人が経験しているのか
経験したことがある人の割合は、調査によってかなり違います。
- アメリカの18〜93歳の女性3,017人の全国調査:これまでに潮吹きをしたことがある人は40%。回数の中央値は3〜5回(Hensel ら, 2024)
- スウェーデンの18〜69歳の女性1,568人へのネット調査:58%が「女性の射精・潮吹き」を経験していた(Påfs ら, 2024)
- アメリカとカナダの女性2,350人に配り、55%が答えた調査:40%が「絶頂の瞬間に液が出たことがある」と答えた(Darling ら, 1990)
- 研究をまとめた総説では、女性の射精の経験率は10〜54%と幅があった(Pastor, 2013)
数字に差が出るのは、「潮吹き」と「女性の射精」をどう区別して聞いたか、どんな人が答えたかが調査ごとに違うためです。スウェーデンの調査は自分から参加した人が中心で、関心のある人が多く集まった可能性があると、著者自身も書いています。
アメリカの調査には、ほかにも参考になる数字があります。経験者のおよそ3分の2は、ひとりの時間やパートナーとの時間に「たまたま」気づいていました。また、約6割は潮吹きを「とても」または「いくらか」心地よいと答えましたが、「毎回、絶頂と同時に起こる」と答えたのは約2割でした。潮吹きと絶頂は、いつも一緒に来るものではないということです。なお、この調査は女性の心地よさを伝えるサイト(OMGYES)の研究チームが関わっています。
男性の潮吹き:研究は1人分の報告だけ
男性にも、射精のあとに先の部分(亀頭)への刺激を続けると、透明でさらさらした液が勢いよく出る、という現象が知られています。ただ、これを調べた論文は、調べた範囲では川崎医科大学のチームによる1例の報告だけでした(Hara ら, 2018)。
- 対象は、潮吹きができる25歳の男性1人
- ふつうに射精したあと、さらに約20秒、陰茎への刺激を続けた
- すると、霧のような半透明の液が、約60秒にわたって出た。液のクレアチニンの濃さは尿と同じくらいだった
- 直腸から当てた超音波では、液が出る直前に前立腺と骨盤の筋肉が強く縮み、膀胱から尿道へ流れる様子が見えた
研究者は、「前立腺と骨盤の筋肉が強く縮むことで、膀胱の尿が押し出される」と考えています。けれど、1人だけの観察なので、ほかの人でも同じ仕組みなのか、どれくらいの人ができるのかは分かっていないです。ここから先の男性の説明は、この1例と経験者の話をもとにした推測を含みます。
始める前の準備(女性・男性共通)
- トイレ:先におしっこと、できれば便も済ませる。「漏れたらどうしよう」という不安が減り、力を抜きやすくなる
- 水分:コップ1〜2杯の水を、始める30分〜1時間前に飲んでおく人が多い。1リットル以上を一気に飲むような飲みすぎは、体の負担になるので避ける
- タオルと防水シーツ:バスタオルを2枚重ねるか、下に防水シーツを敷く。浴室で試す人もいる
- 爪:短く切り、やすりで角を丸める
- 潤滑剤:水溶性のものを、いつもより多めに手元に置く
- 時間:30分以上、誰にも邪魔されない時間をとる。急いでいる日は向かない
女性のやり方:外側で高めてから、内側のおなか側へ
ここに書くのは、研究で確かめられた「正しい手順」ではなく、研究と経験者の話から組み立てた一例です。基本の触れ方は、女性編の第7章もあわせてご覧ください。
- 姿勢:仰向けで膝を立てて開く。腰の下にたたんだタオルか枕を入れると、指が届きやすい。上体を少し起こす人もいる
- 外側から:まずクリトリスのまわりなど、外側でいつもの触れ方を10分ほど続け、十分に高まって潤ってから内側へ進む
- 場所と指:潤滑剤をつけた中指1本を、腹をおなか側に向けて、第2関節くらい(入り口から3〜5cmほど)まで入れる。慣れたら中指と薬指の2本にする人もいる
- 動き:おなか側の壁に指の腹を当てたまま、「こっちへおいで」と手招きするように指先を曲げて戻す。出し入れはしない
- 強さ:はじめは壁を軽く押す程度。心地よければ、壁が少しへこむくらいまで少しずつ強める
- 速さ:1秒に1回から始め、高まってきたら1秒に2回くらいまで上げる。上げたら、その速さを一定に保つ
- もう片方の手:クリトリスに触れ続けるか、恥骨の上(下腹)に手のひらを置いて、内側の指に向かって軽く押す
- 「おしっこが出そう」な感覚が来たら:手は止めずに同じ動きを続け、おなかとお尻の力をふっと抜いて、長く息を吐く。強くいきむ必要はない
時間の目安は、人によって大きく違います。先ほどの研究では、参加者が潮吹きに至るまでに25〜60分ほど刺激を続けていたと紹介されています(Hensel ら, 2024 による Salama ら, 2015 の紹介)。合わない時は、次のように1つずつ変えてみましょう。
- 押す場所を、入り口寄り・奥寄りに指1本分ずつずらす
- 強さを一段上げる。アメリカの調査でも、高める工夫として「強めの、しっかりした触れ方」を挙げた人がいた(Hensel ら, 2024)
- 何も感じない、違和感だけがある時は、外側に戻る。その日はそれで十分
おなか側の壁にある「Gスポット」は、存在自体がまだ証明されていないことも覚えておいてください(女性編の第7章)。反り返った形の道具を使う人もいます。その場合も、いちばん弱い振動から始めます。
男性のやり方:射精のあとも、先の部分を手のひらで
研究の1例と、経験者の話をもとにした手順の一例です。
- 射精までは、いつもどおり:焦らず、しっかり高まってから射精する。経験者の多くは、強い快感で射精した時ほど、そのあとが起こりやすいと語っている
- ローションを多めに:射精したら手を止めず、手のひらのくぼみに500円玉くらいのローションを足す
- 手のひらで先の部分をなでる:手のひらのくぼみを先の部分にかぶせ、円をえがくように、または前後にすべらせるようになでる。もう片方の手で根元を軽く押さえると、皮が引っぱられにくい
- 強さと速さ:押しつけず、表面をすべらせる力で。速さは1秒に1〜2周から始め、慣れたら少しずつ速くする
- とても敏感でくすぐったい段階:射精の直後は、くすぐったさや、もどかしい感じが強く出る。ここで手を止めてしまう人が多いが、数十秒〜2分ほど、ゆっくりにしてでも続けると、その段階を越えることがあるという
- 「漏れそう」な感覚が来たら:おしっこをする時のように、お尻と骨盤の底の力を抜く。潮吹きの研究に協力した男性も、この「漏らす感覚」がいちばん大事なきっかけだと書いている
くすぐったさが痛みに変わったら、そこで止めましょう。射精せずに、先の部分への刺激だけで起こる人や、前立腺への刺激で起こる人もいると語られていますが、研究はないです。前立腺への触れ方は、男性編の第7章をご覧ください。
経験者のあいだでよく語られる工夫
ここからは研究ではなく、日本語と英語の体験記事で、複数の書き手が共通して挙げていた工夫です。
- 「出そう」の時に止めない:女性・男性とも、おしっこが出そうな感覚をがまんして止めると起こらない、という声がいちばん多い。タオルを敷いてあるから大丈夫、と先に自分に言っておく
- 出すことを目標にしすぎない:「出さなきゃ」と力むと、かえって出にくい。心地よさに集中した日のほうが起こりやすいという
- 浴室で試す:濡れても気にならない場所だと、力を抜きやすい
- 最初はひとりで:人の目を気にせず、自分のペースで体の反応を確かめられる
- 量にこだわらない:にじむ程度の人も多く、気づかないうちに出ていてシーツで気づく人もいる
- 男性は根元を支える:射精後に小さくなっていくと続けにくいので、もう片方の手で根元を支えて刺激を当てやすくする
アメリカの調査でも、経験者の約4分の3は、自然に起こるのを待つより、何らかのやり方で高めていました。最後の一押しとして「こわばっていた筋肉をゆるめる」を挙げた人は21.4%でした(Hensel ら, 2024)。
出なくても失敗ではない:大事な考え方
- 心地よさの物差しではない:潮吹きがなくても深く満たされる人は多く、潮吹きがあっても絶頂しない人もいる。出たかどうかで、その日の良し悪しを決めない
- 作品の演出とは別もの:成人向けの作品は見せるための撮影で、量や勢い、回数は演出や編集で強調されていることがある。作品と同じようにならなくて当然
- 戸惑うのも自然なこと:スウェーデンの調査では、初めての時に「おしっこをしたと思った」人が26%、驚きや恥ずかしさを感じた人が28%いた。経験者の58%は、濡れすぎることなどを理由に「避けたい」と思ったことがあった(Påfs ら, 2024)
- パートナーに求めない:経験していない人の中で「起こってほしい」と答えたのは3分の1ほどだった(Påfs ら, 2024)。相手に強く求めたり、長時間の強い刺激を続けたりしない。やめてと言われたら、すぐにやめる
やめる目安と、受診の目安
- ひりひり、痛み、出血が出たら、その場でやめる。強くこすり続けない。潤滑剤が乾いたら、そのつど足す
- 女性は、爪で内側の壁を傷つけないよう、指の腹だけを当てる
- 男性は、射精直後の先の部分がとても傷つきやすい。赤み、腫れ、かゆみ、痛みが続く時は、泌尿器科で相談する(NHS)
- 性的な刺激とは関係なく、せきやくしゃみ、急な尿意で尿がもれる時は、恥ずかしがらずに泌尿器科か婦人科で相談する(NHS)。挿入の最中にもれる場合も、治療が必要な尿もれのことがある(Pastor, 2013)
- おしっこの時の痛みや焼けるような感じ、トイレが近い、尿がにごる、尿に血が混じる、熱が出る、といった時は膀胱炎などのおそれがある。早めに受診する(NHS)
今回のお題 次のひとり時間は、潮吹きを目標にせず、「おしっこが出そうな感覚」が来るかどうかだけを観察してみましょう。来たら、力を抜いて長く息を吐く。来なくても、その日の心地よさを「心地よい・ふつう・合わない」の3段階でメモに1行残してくださいね。
潮吹きの液は、研究では主に尿に近いものとされています。人に向けたり、パートナーの同意なく試したりしないでください。痛みや出血が出た時、尿もれや頻尿、膀胱炎のような症状が続く時は、ひとりで様子を見ずに、泌尿器科や婦人科で相談しましょう。
参考にした資料
- Salama S ら(2015)Nature and Origin of "Squirting" in Female Sexuality. Journal of Sexual Medicine 12(3)
- Inoue M ら(2022)Enhanced visualization of female squirting. International Journal of Urology 29(11)
- Pastor Z(2013)Female Ejaculation Orgasm vs. Coital Incontinence: A Systematic Review. Journal of Sexual Medicine 10(7)
- Pastor Z, Chmel R(2018)Differential diagnostics of female "sexual" fluids: a narrative review. International Urogynecology Journal 29
- Pastor Z, Chmel R(2022)Female ejaculation and squirting as similar but completely different phenomena: A narrative review of current research. Clinical Anatomy 35(5)
- Hensel DJ ら(2024)Vaginal Squirting: Experiences, Discoveries, and Strategies in a U.S. Probability Sample of Women Ages 18-93. Journal of Sex Research 61(4)
- Påfs J ら(2024)Women's experiences of female ejaculation and/or squirting: a Swedish cross-sectional study. Sexual Medicine 12
- Darling CA, Davidson JK, Conway-Welch C(1990)Female ejaculation: Perceived origins, the Grafenberg spot/area, and sexual responsiveness. Archives of Sexual Behavior 19
- Hara R ら(2018)Male squirting: Analysis of one case using color Doppler ultrasonography. IJU Case Reports 1(1)
- Urinary incontinence(NHS)
- Urinary tract infections (UTIs)(NHS)
- Balanitis(NHS)