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「ポルチオ」のしくみと触れ方 ― 奥の感じ方と、分かっていること

⏱ 読む時間の目安:約12分

「ポルチオでイけると最高」「開発すれば誰でも感じる」。ネットや成人向け作品で、こうした言葉を見かけた方もいると思います。このコラムでは、場所を医学の資料で確かめ、研究で分かっていることと分かっていないことを分けて整理します。そのうえで、試したい方のための触れ方と、受診の目安をまとめます。先にお伝えしておくと、奥で何も感じなくても、まったくふつうのことです。

ポルチオとは ― 場所と名前の由来

子宮の下の細い部分(子宮頸部)は、腟のいちばん奥に少しだけ顔を出しています。この部分がポルチオで、医学では「子宮腟部(しきゅうちつぶ)」と呼びます。まん中の小さな穴(外子宮口)はふだん閉じていて、指や道具が子宮の中に入ることはないです(SEER; WebMD)。

名前は、ラテン語の医学用語 portio vaginalis uteri(子宮の、腟に出ている部分)の最初の1語 portio(部分)から来ています。ドイツ語圏の婦人科では、今も短く「Portio」と呼ばれています(DocCheck)。

ポルチオのまわりには、ぐるりと溝のようなくぼみ(腟円蓋)があり、前・後ろ・左右に分けて呼ばれます(SEER)。

ポルチオはどこ?横から見た模式図(左がおなか側)。子宮の入り口の部分です子宮ポルチオ(子宮腟部)奥のくぼみ(腟円蓋)腟膀胱背中側の腸(直腸)← おなか側
形や向きは人によって違い、子宮が背中側に傾いている人もいます。医学の資料をもとに単純化した図です。

高まると奥が広がる ― 位置は日によって変わる

1960年代に性の反応を観察したマスターズとジョンソンは、高まると腟の奥の3分の2が伸びて広がり、子宮が持ち上がることを記録しました。奥がテントのように持ち上がるので「テント現象(tenting)」と呼ばれます。

医師監修の解説では、高まると子宮頸部が入り口から遠ざかるので、奥に当たりにくくなる一方、当たった時は心地よく感じやすいかもしれない、とされています。反対に、十分に高まる前や、先に絶頂を迎えて体が元に戻ったあとは、当たりやすく、心地よさは感じにくいそうです(WebMD)。

月経周期でも位置は変わり、排卵のころは高く触れにくく、生理のころは低く下がると説明されています(Healthline)。日によって「届かない」「当たって痛い」が変わるのは、このためと考えられます。

高まると、奥が広がるリラックス時と高まった時の比べ(テント現象)ふだん高まった時奥が浅め・子宮が近い奥が伸び・子宮が上がる
高まると腟の奥が広がり、子宮が上がると言われています(Masters と Johnson の観察)。急がず十分に高まってから、奥に触れるほうが痛みが出にくいと考えられます。

研究で分かっていること・分かっていないこと

かつては「子宮頸部の表面は、ほとんど何も感じない」と考えられていました。その見方を変えたのが、アメリカのコミサルクらの研究です。

感じる人の割合については、カナダの研究チームがネット広告で集めた女性307人(多くは21〜30歳)に聞いた調査があります(Giovannetti ら, 2023; SMSNA)。

いちばん心地よい刺激はどこ?1つだけ選んだ答えの割合クリトリス70.8%腟の深い所(指より奥)16.9%腟10.4%子宮頸部(ポルチオ)0.3%無回答
出典:Giovannetti ら(2023)。女性307人へのネット調査で、1つだけ選ぶ質問(5人は無回答)。細かい数字は北米性医学会(SMSNA)の紹介記事によります。ポルチオが心地よいと感じる人がいないという意味ではなく、「いちばん」に選んだ人が少なかったという結果です。

自分から参加した人の答えで、国全体を代表する数字ではないです。奥への刺激を痛いと感じる人の割合を示した調査は、今回の検索では見つかりませんでした。

「腟の刺激による絶頂は、クリトリスとは別のものか」は、今も意見が分かれています。立場の違う6人の専門家による討論論文は「外側のクリトリスだけ、という考えは最良の証拠にもとづいていない」と結論づけました。ただ同じ論文には、腟への刺激はクリトリスの内側の部分への刺激でもある、という見方も入っています(Jannini ら, 2012)。

ネットの主張を確かめる

日本語の記事でよく見る主張を、研究と照らし合わせました。

奥の痛みと、からだのサイン

奥が痛むこと(深部性交痛)は、めずらしくないです。アメリカ産科婦人科学会は、女性のほぼ4人に3人が、人生のどこかで性交時の痛みを経験すると説明しています。原因は、十分に高まっていないことのほか、卵巣の袋状のはれもの(卵巣嚢腫)や子宮内膜症など、婦人科の病気のこともあります(ACOG)。

子宮内膜症は、子宮の内側にあるはずの組織が、子宮の外で育つ病気です。月経痛は患者さんの9割にみられ、排便や性交のときに痛むこともあります(日本産科婦人科学会)。生殖年齢の女性の約10人に1人がかかり、その約半数が奥の痛みを経験するとされています(Yong, 2017)。生理痛が重い、毎回同じ場所が痛む、という時は、がまんせずに婦人科で相談しましょう。

ひとりで試す手順:場所・動き・強さ・時間

研究で確かめられた方法ではなく、医学の資料と経験者の話から組み立てた一例です。指で触れる基本は、女性編の第7章もご覧ください。

合わない時は1つずつ変えます。

奥への触れ方:押さずに、揺らす指や道具の先を軽く当てて、小さく揺らします強さ当てるだけ動き小さく揺らす時間少しずつ痛い時すぐ浅く
突く・強く押すのは避けます。奥の痛みは珍しくなく、続く時は子宮内膜症などのサインのこともあるので、婦人科に相談しましょう。

道具を使う時・パートナーとの時

道具の選び方と使い方です。

パートナーとの時は、深さを自分で決められる姿勢(自分が上になる、横向きになる)を選びましょう。アメリカの女性3,017人の調査では、76.4%が、出し入れせずに奥に入れたまま揺らす「ロッキング」で挿入が心地よくなると答えていました(Hensel ら, 2021)。強く突かせるより、当てたまま揺らしてもらうのが一つの方法です。「痛い」「浅く」を伝える合図も、先に決めておきましょう。

経験者のあいだでよく語られる工夫

ここからは研究ではなく、日本語と英語の体験記事で、複数の書き手が共通して挙げていた工夫です。

体験談には、子宮口に細い器具を入れる、長い道具を奥まで強く押しこむ、といった方法も見かけます。傷や出血、感染のもとになりうるので、この道では避けましょう。

大事な考え方と、受診の目安

次のような時は、婦人科で相談しましょう。

修行のお題 次のひとり時間は、外側で10分以上高めてから、指で「行き止まりがどこにあるか」だけを確かめてみましょう。届いたら軽い強さで1分だけ小さく揺らし、「心地よい・何も感じない・痛い」のどれに近かったかと、生理周期の何日目かをメモします。届かなくても、それも大事な記録です。

ポルチオの「開発」で必ず感じるようになる、ほかの絶頂より強い、といった研究の裏付けは見つかっていません。痛みや出血があるときは中止し、婦人科で相談してください。妊娠中の方、子宮内避妊具を入れている方、子宮頸部の治療を受けた方は、先に主治医に確認しましょう。

参考にした資料

📜 オナニー道の心得📓 記録アプリ「修行帳」