18歳未満の方は閲覧できません

このサイトは成人向けの性の健康の情報と、商品の紹介を含みます。

18歳未満です(退出)
オナニーの達人 仙人がやさしく教える、からだの練習帳

当サイトはアフィリエイト広告(PR)を利用しています。紹介している商品のリンクから購入されると、運営者に報酬が支払われることがあります。医療の診断に代わるものではありません。

← コラム一覧

女性のオーガズムはなぜあるのか

⏱ 読む時間の目安:約7分

男性のオーガズムは、射精とセットになっていて、子孫を残すことに直接つながっています。進化の説明としては、とても分かりやすい部類です。では、女性のオーガズムはどうでしょうか。女性がオーガズムを感じなくても妊娠はしますし、性交のたびに起きるものでもないです。それなのに、なぜあるのでしょう。

この問いは、実は生き物の進化を研究する学問(進化生物学)の中でも、長く決着がつかない「難問」の一つです。今回は、この論争をたどりながら、「答えが出ていないこと」そのものを楽しんでみたいと思います。

大きく分けて二つの考え方

女性のオーガズムの進化をめぐる説明は、おおまかに二つのグループに分かれます。

ロイドの問い:「役に立つはず」という思い込み

この論争で大きな存在感を持つのが、科学のあり方を考える学者(科学哲学者)のエリザベス・ロイドさんです。2005年の著書『The Case of the Female Orgasm』で、ロイドさんは女性のオーガズムの進化についての20の説明を、一つずつ調べました。そして、多くの説明が証拠と食い違っていたり、必要な証拠が足りなかったりすると指摘しました(Lloyd, 2005)。

ロイドさんが問題にしたのは、二つの思い込みです。一つは、女性の性を男性の性の物差しで見てしまう思い込み。もう一つは、「体にある特徴は、すべて何かの役に立つために進化したはずだ」という思い込みです。そのうえでロイドさんは、今ある証拠にいちばん合うのは副産物説だと論じました。この本は、科学のかたよりを考える教材としても読まれています。ただ、適応説を支持する研究者からは、強い反論も出ています。

ばらつきの大きさが語ること

ロイドさんは、心理学者のキム・ウォーレンさんといっしょに、この問題に別の角度から光を当てました。進化の中で強く選ばれてきた特徴は、個人差が小さくなりやすい。反対に、選ばれる力が弱い特徴は、人によるばらつきが大きいまま残りやすい。そう考えられています。

二人は、クリトリスの大きさの個人差が、男性の性器(陰茎)の大きさの個人差よりずっと大きいことを示しました。これを、女性のオーガズムが進化の中で強く選ばれてこなかった証拠だと論じました(Wallen と Lloyd, 2008)。さらに別の研究では、1920〜40年代に集められた古いデータを分析し直しました。すると、クリトリスとおしっこの出口(尿道口)の距離が短い女性ほど、性交中にオーガズムを経験しやすい、という関係が見つかりました。この距離は、生まれる前に浴びた男性ホルモンの量と関係しているかもしれないといいます(Wallen と Lloyd, 2011)。ただし、使われたのは約100年前に集められ、当時は数字でくわしく分析されないまま残っていたデータです。今の基準で測り直したものではないので、あくまで手がかりの一つです。そして大切なのは、この研究が「個人差がとても大きい」ことを示している点です。オーガズムを感じやすいかどうかは、努力や相性だけで決まるものではないのかもしれません。

新しい視点:「排卵のスイッチ」だった?

2016年、進化の研究者のパブリチェフさんとワグナーさんは、この論争に新しい見方を持ちこみました。これまでの説明は、ヒトの体の中で今どんな役に立っているかばかりを見ていた。「そもそもどこから来たのか」という始まり(起源)を問えていない、というのです(Pavličev と Wagner, 2016)。

二人が注目したのは、オーガズムのとき、女性の体の中でプロラクチンやオキシトシンといったホルモンが一気に出ることでした。ウサギやネコなど、おっぱいで子を育てる動物(哺乳類)の一部では、交尾の刺激で卵子が出てくる(排卵が起きる)しくみがあります。これを「交尾排卵」といい、そのときにも似たホルモンが出ます。二人は、女性のオーガズムの起源は、この「交尾で排卵を起こす体の自動的な反応(反射)」ではないかと考えました。

生き物の家系図(系統樹)をたどると、哺乳類のご先祖は交尾排卵をしていたと推定されました。ヒトのように、決まった間隔で自然に排卵するしくみは、あとから進化したものです。決まった間隔の排卵が進化したことで、反射は排卵のために必要なくなり、ほかの役割を持つ余地が生まれた。これが二人の筋書きです。また、決まった間隔で排卵する種ほど、クリトリスの位置が性交の通り道から離れている、という傾向も示しました。この説は起源をうまく説明します。一方で、種どうしを比べて推しはかったものなので、ヒトの反射と動物の反射が本当に「同じもの」だと直接示したわけではないです。

そこで2019年、同じチームはウサギを使った実験で、この説を試しました。使ったのは、ヒトでオーガズムを感じにくくすることが知られている、うつ病の薬(抗うつ剤)のフルオキセチンです。これをウサギに与えると、交尾のあとの排卵の数が約30%減りました。一方、脳を通さずにホルモン注射で排卵を起こした場合は、はっきりした差は出ませんでした。チームは、この結果が「排卵の反射の名残」説を支えると結論づけています(Pavličev ら, 2019)。ただ、これは考え(仮説)から出てくる予想の一つが当たったということです。説全体が証明されたわけではない点には、注意が必要です。

ほかの霊長類のメスは?

「ヒト以外の動物のメスにもオーガズムはあるのか」という問いも、長く議論されてきました。動物に感じたことを聞くことはできないので、研究者は体の反応やしぐさを手がかりにします。

人に飼われている(飼育下の)ニホンザルの群れを、238時間観察した研究があります。240回の交尾のうち80回(33%)で、メスがオーガズムに当たると考えられる反応を示しました。反応は、メスの年齢や順位とは関係がありませんでした。一方で、交尾が長く続くほど起きやすく、さらに、順位の高いオスと順位の低いメスの組み合わせで、いちばん多く見られました(Troisi と Carosi, 1998)。研究チームは、メスの反応が体への刺激だけでなく、群れの中での関係にも左右されていると考えました。ただし、これは一つの飼育群での観察です。見た目の反応をオーガズムとみなしてよいのか、という点もふくめて、受けとり方(解釈)には幅があります。

分からないことを、分からないまま楽しむ

まとめると、今のところ「これが正解」と言える説明はないです。副産物説には強い支持者がいます。始まりを排卵の反射に求める新しい説もあります。ヒトの中で、あとからどんな役割を持つようになったかを探る研究も続いています。これらは、おたがいを打ち消し合うとは限らないです。始まりは排卵の反射で、今は副産物に近い、あるいは別の役割を持つ、という組み合わせもありうるからです。

そしてもう一つ、覚えておきたいことがあります。女性のオーガズムに「進化の上での役目」があってもなくても、それが価値のあるものかどうかとは別の話です。進化の役に立たないから意味がない、と考えるのは、「自然だから正しい」の裏返しの落とし穴です。音楽や絵を楽しむ気持ちも、進化の説明がはっきりしないまま、私たちの暮らしを豊かにしています。

ヒトへのヒント:オーガズムの感じやすさには、生まれつきの体のつくりもふくめて、大きな個人差があるようです。感じにくいことを、自分や相手のせいにしすぎないでください。自分の体がどんなときに心地よいと感じるのかを、一人の時間にゆっくり確かめてみるのも、一つの楽しみ方かもしれません。

参考にした資料

📜 オナニー道の心得📓 記録アプリ「修行帳」