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50代からの性の健康

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50代は、女性は月経が終わる時期(閉経)をはさみ、男性はゆるやかな変化に気づきはじめる時期です。子育てや仕事の節目が重なり、ふたりの関係や、自分の体との付き合い方を見直す人も多くいます。変化は「終わり」の合図ではありません。やり方を少し変える合図と考えてみてください。したくないと感じる時期があることも、自然なことです。

この年代のからだの変化

女性:日本では50歳前後で閉経を迎える人が多く、女性ホルモン(エストロゲン)が減ります。すると、腟や、その外側の部分(外陰部)の表面をおおうやわらかい膜(粘膜)が薄くなり、乾きやすくなります。そのため、性交のときの痛みやかゆみ、トイレが近くなる(頻尿)、尿もれが出ることがあります。これらはまとめて「閉経関連尿路性器症候群(GSM)」と呼ばれます。閉経にともなって尿の通り道や性器に出る症状、という意味です。北米閉経学会は、閉経後の女性の約27〜84%にみられるとしています(NAMS, 2020)。ほてりや寝つきの悪さで疲れがたまり、気持ちが向かない時期もあります。

一方で、変化の出方は人それぞれです。40〜65歳の米国女性1,500人の調査があります。閉経後の人は、ひとりの時間の回数が少なめでした。ただ、オーガズムに達する割合は、閉経の前と後で差がありませんでした(Graham ら, 2025)。全国の姿に近くなるよう人を選んだ調査ですが、インターネットで本人が答えたもの(自己申告)である点には注意が必要です。

男性:男性ホルモン(テストステロン)はゆるやかに減ります。勃起の硬さ、朝の勃起、回復までの時間に変化が出てきます。日本性機能学会の2023年の全国調査と、1991年の札幌の調査を比べた研究があります。朝の勃起がまったくない人の割合は、どの年代でも増えていました(Sato ら, 2026)。ただし1991年の調査は、札幌の既婚者だけが対象です。条件をそろえても、完全な比較にはなりません。疲れやすさや意欲の低下が続くときは、男性の更年期(LOH症候群)のこともあります。

ひとりの時間(オナニー)

ひとりの時間は、パートナーがいてもいなくても、変わりつつある自分の体を知るよい機会です。どこにどんな刺激が心地よいか、以前と何が違うかを知っておきましょう。それが、ふたりの時間で伝える言葉にもなります。日本の中高年の調査では、2000年から2012年にかけて、ひとりでする性の行為(マスターベーション)が男女とも増えていました。特に40・50代の男性で目立ちました(荒木, 2020)。

健康面の研究もあります。約3万2千人の米国の男性を、約18年追いかけた研究です。射精の回数が月21回以上の人は、月4〜7回の人より、ぼうこうの下にある男性の器官(前立腺)のがんと診断される割合が低い傾向がありました(Rider ら, 2016)。ただし、これは人々の暮らしぶりを記録して見守る研究(観察研究)です。そのため、何が原因で何が結果なのかはわかりません。また、主に進行のゆっくりながんでの結果です。「健康のために回数を増やすべき」という話ではありません。

ふたりの時間

日本の中高年夫婦の調査では、性交をやめた理由でいちばん多かったのは、女性側の関心が下がったことでした。その背景には、会話の少なさ、一方からの誘いに応じる形の関係、性の知識の不足がありました。年をとると性交のときに痛みが起こりやすくなることを、男性の32%、女性の28%が知らなかったと報告されています(荒木, 2020)。この調査は関東圏で配ったもので、答えが返ってきた割合(回収率)も高くありません。全国の姿そのものではありませんが、話し合いの大切さがわかる結果です。

年をとると性交で痛みが起こりやすいことを「知らなかった」人男性女性知らなかった32%男性28%女性
出典:荒木(2020)。日本の中高年夫婦の調査(関東圏で配布)。答えが返ってきた割合は高くなく、全国の姿そのものではありません。

男女のカップルでも同性のカップルでも、体の変化に合わせてやり方を変えることは同じです。離婚や死別のあとに、新しい出会いがある人もいます。妊娠の心配が減っても、性の行為でうつる病気(性感染症)は、年齢に関係なくうつります。梅毒は、口や肛門の接触でもうつります。コンドームを正しく使い、不安があれば検査を受けましょう(厚生労働省)。避妊をいつまで続けるかは、婦人科で確かめると安心です。

病気や薬との付き合い方

高血圧、糖尿病、肥満、喫煙は、勃起の悩み(ED)の大きな原因です。日本のED診療の手引き(ガイドライン)は、EDを心臓や血管の病気の前ぶれとしてもとらえています(日本性機能学会・日本泌尿器科学会, 2018)。血圧の薬、うつ病などに使う薬(抗うつ薬)、前立腺が大きくなる病気(前立腺肥大症)の薬などが、性の働きに影響することもあります。気になっても自分の判断で薬をやめず、処方した医師に相談しましょう。

ED治療薬は、医師の処方が必要です。胸がしめつけられるような心臓の病気(狭心症)などで使う硝酸薬とは、一緒に使えません。持病や飲んでいる薬によっては、使えないこともあります。インターネットで手に入る薬には偽物が混じっていることがあり、死亡例も報告されています。避けてください。女性の、減ったホルモンをおぎなう治療(ホルモン補充療法)や、腟に使うエストロゲンの薬(腟のエストロゲン製剤。日本ではエストリオール腟錠など)も、医師の処方が必要です。乳がんの治療中・治療後など、持病によっては使えないことがあります。

乾燥が軽いうちは、市販の保湿剤や、すべりをよくするゼリー(潤滑ゼリー)で楽になる人もいます。症状が続くときは、女性は婦人科(更年期外来)、男性は泌尿器科(性機能外来のある所)へ。気分の落ち込みが続くときは、心の不調を診る心療内科も相談先です。

この年代へのひとこと

50代の変化は、体からの「やり方を変えよう」という知らせです。ローション、時間、言葉。この三つをそろえるだけで、ひとりの時間もふたりの時間も、ずっと楽になることがあります。

この年代のお題最近感じている体の変化を一つだけ、パートナーに(ひとりなら日記に)言葉にしてみましょう。

参考にした資料

📜 オナニー道の心得📓 記録アプリ「修行帳」