第2章 はじめる前の準備
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茶道でも、お茶をたてる前に道具を清め、場をととのえるよね。この道も同じで、準備がととのうと、心と体がほどけやすくなるんだ。入門の二歩目として、その「場づくり」を話そう。
安心できる時間と場所
- 邪魔が入りにくい時間を選ぶ。家族や同居人がいるなら、ひとりになれる時間帯を探しておく
- 部屋の鍵やドアを確かめ、スマホの通知を切る
- 寒いと体がこわばるので、室温を整え、掛けるものを用意する
- 次の予定が迫っていない、30分ほどの余裕をつくる
「誰かに気づかれるかも」という不安があると、体はなかなか高まらない。安心は、いちばんの下ごしらえなんだ。
体と心をゆるめる
お風呂上がりのように体が温まっていると、力が抜けやすい。横になったら、鼻から吸って、口からゆっくり長く吐く呼吸を何回かくり返してみよう。いきなり性器に触れなくていい。首すじや腕、太ももの内側などをなでて、「触れられている感覚」に気持ちを向けるところから始めよう。そのほうが、気持ちが切り替わりやすいよ。
手と爪の準備
外から見える部分(外陰部)の皮膚や、しめった内側の膜(粘膜)は、薄くて傷つきやすい。性の相談サイト「セイシル」で回答している産婦人科医も、基本としてふたつを挙げている。清潔な手で行うことと、傷つけないよう爪を短くしておくことだ。爪を切ったあとは、やすりで角を丸くしておくと安心だよ。手洗いは始める前だけでなく、終わったあとにも。
もうひとつ覚えておきたいのは、腟の中は洗わなくていい、ということ。腟の中では、体を守る菌(乳酸菌)がはたらいている。そのおかげで少しすっぱい状態(弱酸性)に保たれ、ほかの菌が増えにくくなっている。症状がないのに何度も腟の中を洗うと、その守り役の菌まで流してしまう。だから、すすめられていないんだ(ペアケア、産婦人科医監修の記事)。外側をぬるま湯でやさしく流すくらいで十分だよ。
道具の清潔
道具を使うなら、使う前と後に洗うのが基本。irohaは、TENGAの女性向けブランドだ。その記事では、水やぬるま湯だけでもよいとしている。そのうえで、デリケートな部分に使うものなので、中性洗剤で洗うことをすすめている。また、アルコールが濃すぎる消毒剤や、長い時間の浸け置きには注意が必要だという。シリコンの手ざわりを変えてしまうおそれがあるからだ。洗ったらよく乾かして、ほこりのつかない袋やポーチにしまっておこう。
潤滑剤という心強い味方
潤いが足りないまま触れると、こすれてひりひりしやすい。そこで役立つのが、すべりをよくする液(潤滑剤)なんだ。ローションや潤滑ゼリーとも呼ばれるよ。
アメリカで2,453人の女性が5週間、日記の形で記録した研究がある。水が主な成分のもの(水性)や、シリコンが主な成分のもの(シリコン性)を使ったときに、ひとりでの性行為の快感と満足度の評価が高かった。さらに水性のほうが、シリコン性よりも性器の症状の報告が少なかった(Herbenick ら, 2011)。同じ研究グループの別の分析では、多くの女性が「潤っているほうが届きやすいと感じる」と答えている(Jozkowski ら, 2013)。
これは研究に参加した人が、決められた数種類の潤滑剤を使ったときの記録なんだ。すべての製品やすべての人に当てはまるとは限らないよ。「届きやすいと感じる」というのも、本人の受け止め方をたずねた結果なんだ。
選ぶときのポイントは次のとおり。
- はじめは水性(水溶性)が扱いやすい。洗い流しやすく、合わせられる道具も多い
- 道具と一緒に使うなら、その道具の説明書で使える潤滑剤の種類を確かめる。シリコン製の道具には水性だけを指定している製品もある
- 全身用のマッサージローションと、デリケートな部分に使う潤滑ゼリーは、目的が違う商品だと説明されている(オカモト「ラバーズ研究所」)。性器に使うなら後者を選ぶ
- はじめて使うものは、腕の内側などに少しつけて、赤みやかゆみが出ないか試してから
準備は、自分をていねいに扱うための小さな儀式なんだ。爪をととのえているその時間から、もう修行は始まっているよ。
修行のお題 「わたしの準備リスト」を作ってみよう。時間帯、場所、通知オフ、爪、潤滑剤、終わったあとの片づけ。5つ以上書き出して、次の機会に上から順にととのえてみてね。
参考にした資料
- Herbenick D, Reece M, Hensel D, Sanders S, Jozkowski K, Fortenberry JD (2011). Association of lubricant use with women's sexual pleasure, sexual satisfaction, and genital symptoms: a prospective daily diary study. Journal of Sexual Medicine
- Jozkowski KN, Herbenick D, Schick V, Reece M, Sanders SA, Fortenberry JD (2013). Women's perceptions about lubricant use and vaginal wetness during sexual activities. Journal of Sexual Medicine
- マスターベーションで性感染症になる?(セイシル)
- 膣内洗浄って必要なの?(ペアケア)
- みんなのセルフプレジャー研究所 vol.3 グッズの保管やお手入れ、どうしてる?(iroha)
- 3種類の違い~潤滑ゼリーとボディ用マッサージローション、コンドームの潤滑剤~(オカモトラバーズ研究所)